#朝ぼらけ117号に紙面の都合で載せられなかった追加分を掲載します。


卒業20年越しに感じた福高の今 −車座ふるさとトークの実施を通じて−

福田宏晃(高52回)

同窓会の皆様、はじめまして。高52回卒の福田宏晃と申します。
さて、この度、発行された朝ぼらけ第117号に、春田久美子先輩(高37回)が寄稿されていらっしゃいますように、本年1月、福高の記念講堂において、2022年4月に実施される「成年年齢引下げ」をテーマとして、「車座ふるさとトーク」が開催されています。
私は、法務省担当者として、このイベントの企画立案・全体調整を拝命しておりましたところ、今般、同窓会の皆様へ、本イベントに関するご報告の機会をいただきましたので、以下、寄稿させていただきます(本稿は、あくまで私個人の見解です)。

まず、「車座ふるさとトーク」とは何かという点からご説明させていただきますが、これは政府が取り組んでいる様々な重要政策課題について、各府省の大臣・副大臣・政務官が地域に足を運び、地域の方と車座になって対話を行い、いただいたご意見を今後の政策に活かすことを目的として実施されている取組です。

法務省では民法を所管しており、明治以来、約140年ぶりに見直しがされることとなった成年年齢の定義(民法第4条)について、2022年4月に実施される18歳への引き下げまで残り約2年となったことから、今般、車座ふるさとトークのテーマとして取り上げ、義家弘介法務副大臣が福高に訪問させていただくに至ったものです。

○成年年齢引下げについて(法務省ホームページ)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00043.html

当日は、新聞社の記者さんや地元テレビ局のテレビクルーの方々などマスコミ関係の方にも多数取材に来ていただき、在校生やオブザーバーの先生方などの延べ約100名の傍聴者の皆様が見守る中、福高1年生7名を中心とした10名のトーク参加者と義家法務副大臣が、記念講堂の真ん中で車座になってディスカッションが行われました。

冒頭、義家法務副大臣から会場の皆さんに対し、「早く大人になりたいと思うか」と問いかける場面から始まりました。
普段、政治家と接することもあまりなく、トーク参加者には緊張した様子が伺われましたが、日頃の学校の授業と違って、「成年年齢の引下げによって社会はどのように変わると思うか」「今後、必要な環境整備に向けて国はどのような対応に力を入れていくべきと考えるか」等の答えのないテーマについて、それぞれの立場から、一生懸命考え、感じた率直な意見を発表していただけたものと思います。
 義家法務副大臣からも、「大人になることについて必要以上に難しく考える事はない。人間は一生成長し続けるものであって、足りないところを支え合いながら社会は成り立っている。成年になると自分で判断できる幅が広がるというポジティブな側面もある。今のうちに、色んな価値観をぶつけ合いながら、大人になる準備を進めて欲しい。」といった熱いエールが全体を通じて贈られています。

90分という長丁場でしたが、トーク参加者らは、2年後に迫る成年年齢引下げ自体について十分に理解を深めるとともに、「人間は支え合いながら生きていくものであり、大人になっても周囲に相談できるような人間関係を構築しておくことが大事であること」、「若いうちから様々な経験を積んでおくことで、後日、自身の財産となって返ってくるものであること」などを実感していただくことができたようです。

最後に、もう一度、義家法務副大臣が「早く大人になりたいと思うか」を会場の皆さんに問いかけたところ、冒頭、実はわずか1割しかいなかった早く大人になりたいと回答した人の割合が、見事、逆転する結果となったのはとても印象的です(それでも、1割の方は、やはり大人になりたくないと回答されたのも、どこか福高らしくて良かったです)。

○法務省・車座ふるさとトークin福岡(YouTube)
https://youtu.be/FF6TO2YMqdY

トーク終了後には、義家法務副大臣と一緒になって、トーク参加者が記者会見に応じるという異例の演出もありました(いわゆる「ぶら下がり記者会見」という形式で、テレビニュースで同じような光景を目にされたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います)。

テレビカメラの明るいライトに照らされながら、記者さんからの質問に次々と答えていくという経験は、トーク参加者にとって、おそらく初めてだったと思われますが、ディスカッションの内容やご自身の考えについて、堂々と応答していた姿を拝見すると、イベント主催側として、成年年齢引下げについて十分な理解を深めていただけたことを嬉しく思うと共に、高校生の皆さんの真っ直ぐで純粋な意見を聞くことができ、改めて、高校生っていいなと初心に立ち返らせてもらった気がします。

思えば、私たち高52回生は、2000年3月に福高を卒業しておりますので、今年は、ちょうど20年が経過する節目の年です。このような節目の年に、かけがえの無い青春時代を過ごした福高と再び繋がりを持って、福高生活を振り返り、そして、色々と懐かしむことができたのは非常に有り難く、喜ばしいことだと考えています。

実は、このイベントを通じて、多くの諸先輩方や後輩の方々とも繋がるご縁をいただくことができました。その中には、当日、私の携帯にお電話を下さって、お忙しい中、急遽、駆け付けていただいた方もいらっしゃいます。多くの皆様から、イベントの成功に向けた心強い励ましのお言葉を賜り、改めて福高の組織力、福高への想いを感じることができたのは、私にとって思いがけない収穫でした。
おそらく生きている間には再び見直されることはないであろう成年年齢について、母校において、後輩に当たる福高生の皆さんからご意見を伺うことができたことは、本当に貴重な経験をしたなと思います。

最後になりましたが、本イベントを無事に成功裏に終えることができたのは、多くの高校関係者の皆様方の御協力があってこそです。
とりわけ、福高の大先輩として温かく見守り、お導きいただいた合屋伸一校長はじめ、事前準備において的確な御示唆やアドバイスをいただいた江崎賢一郎副校長及び安武良和教頭、そして、各種の御調整や全般的なサポートをいただいた野田猛先生には、感謝の気持ちで一杯です。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
私も、今回のイベントでの経験を一つのきっかけとして、同窓会の活動にも積極的に参加するなど、微力ながら、福高の発展へ貢献できるよう尽力していけたらと考える次第です。皆様、改めて何卒よろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。


<おまけ>

車座ふるさとトーク当日のランチは、みんなで新しくできた福高食堂(竹乃屋)を利用させていただきました。その際に、これまた20年ぶりに再会した福高名物「おにから」がこちら。

高校時代、朝補習が終わった後に走って買いに行っていました。揚げたてが非常に美味しかったのを覚えています。ちなみに、当時、150円でしたが、あれから20年経って、今は190円。また、当時は、おにぎり1つに、唐揚げ2つだった気がしましたが、今はおにぎり2つに、唐揚げ1つのようです。おにからファンの皆様、ぜひ足をお運びください。

※安武良和教頭先生は、2020年4月、修猷館の副校長に異動・昇任されました。